2013年4月21日に札幌パークホテルで行われた、CSS Nite in SAPPORO,Vol9「今必要なSEO」の感想第5弾です。
前回の記事では古荘貴司氏のセミナー、サイト改善の初歩とA/Bテストの使いどころの感想をお送りしました。
今回はの記事では大先生というニックネーム(?)でも有名な、フリーランスの辻正浩さんの、ひとりでもできる、理想のSEOの感想をお送りします。
辻正浩さんには、サイト構造や被リンク獲得、SEOであったほうがいいスキル等について、詳しく解説して頂きました。
他の方のセッションよりやや長いですが、その長さを感じさせない非常に濃い内容になっていました。
ひとりでもできる、理想のSEO
辻正浩さんってどんな人?
辻さんはSEOの中でも、特に大規模サイトのスペシャリストとして有名です。
nanapiやはてなのような有名サイトのSEOも担当されているようです。
おおよそ、日本での検索の2%を占めているそうで、凄いの一言に尽きます。
日本で100回検索すれば、2回は辻さんが関係しているそうだとか。
辻さんが札幌で5年間活動されていた時は、何でも屋であり、様々な領域に踏み込むことが出来る理想的なSEOを行える立場であったそうです。
担当されたこと
- 営業・提案・打ち合わせ
- 企画・コンセプト・ワイヤーフレーム
- HTMLコーディング
- コンテンツ制作
- アクセス解析
- プログラミング・サーバ管理
- リスティング広告・SEO
- etc…
辻さんの担当箇所は多岐に渡ったそうです。
実際に、これらの幅広い知識の全をそれなりに持っている方は少ないのではないでしょうか。
幅広い分野に広く精通されているところが、辻さんの強みな事に間違いはないでしょう。
過去に取り組んだSEOの失敗例
せお
辻さんがSEOに取り組み始めた頃は、SEOの書籍が、住さんの本や、渡辺さんの本くらいしか存在しておらず、沢山の情報が入手出来るわけではなかったので、それらの本を読みながら独学で学ばれたそうです。
それらの本は、SEOの基本を知る事が出来る優れた書籍なのですが、「SEO」の読み方が解説されておらず、辻さんはせおと呼んでいたそうです。
更新頻度向上
更新頻度を上げれば検索エンジンの評価が上がると考え、スペースを1個加えて更新→スペースを1個減らして更新 という作業を繰り返した。
クリック連打
検索順位のクリック率が高いほうが順位が上がると考え、ツールでマクロを組んで毎晩検索順位をクリックし続けた。
隠しテキスト
様々な方法でテキストを隠した
どうしてそんなことになったのか
上記の方法でペナルティこそ受けなかったそうですが、主に一人でやっていらっしゃったため、当時はたまたま上がった少ないデータを信じ込んでしまったり、止めてくれる人や情報がなかったことが原因だったそうです。
今でこそ、「その情報は無茶苦茶だよ」ということも解説されているブログなども多数ありますが、昔は少ないデータしかなかったため、そういうことになったのでしょう。
成功したSEO手法
SEOの失敗を語って頂きましたが、成功したことも沢山あったそうです。
実際に成功した事例についてご説明していただきました。
- リニューアルで検索流入が最大15倍に
- ネット予約を中断するほどの申し込みも
- 地域+業種のキーワードだけではなく、地名・観光地名のキーワードでも複数で1位
- 「結婚式」等の高難易度の業種名でもいくつか上位表示
スパムは一切使わずにこれらの偉業を達成されたとのことです。
SEOを考えたWebサイト設計
まず、サイトを構築、リニューアルする際には、提案段階から加わり、SEO観点も意識したサイト設計にされたとのことです。
今でも多いのですが、サイトが完成してから「SEOの施策をお願いします」という流れになりますと、力を100%発揮するのが難しくなりますし、様々な修正作業も必要になりますので、手間やコストが多く掛かります。
最初の段階から関われるというのは、SEOを成功させるための一つの理想的な形というのは間違いないと思いました。
極めて重要なサイト構造
サイトの内部構造の重要性について、わかりやすく解説して頂きました。
目立つメニューとパンくずリスト
不慣れなユーザーでも簡単に上のページヘ戻ったり、下のページヘ遷移出来るように、コンテンツの上部に目立つリンクとパンくずリストを用意することは大事なことです。
私もパンくずリストに関しては「デザイン的になんとなくダサいからパンくずリスト外したいのですが」といった感じでよく聞かれるのですが、ページの構造を検索エンジンに伝えるという理由と、不慣れなユーザーにも迷わずにコンテンツを回遊してもらうという大事な役目をもっているので、出来る限り設置しておいてくださいとご説明しています。
構造化
悪い例
- ホーム
- リンゴ
- キャベツ
- ミカン
- レタス
良い例
- ホーム
- 野菜
- キャベツ
- レタス
- 果物
- リンゴ
- ミカン
- 野菜
上記のように、きっちりと構造を分けましょう。
可能であれば、URLも構造化することが好ましいとおっしゃっていました。
例:http://example.net/vegetable/lettuce/ や http://example.net/fruits/apple/等
URLの構造化に関しては、コンテンツの構造化(リンクの構造)程、重要ではありませんが、検索エンジンに構造を伝えるヒントとなりますので、可能であるならやっておいたほうがいいとおっしゃっていました。
評価を上げたいページの下にコンテンツを増やす
これは特に重要な施策となります。
例えば果物のページを上げたければ
- 果物
- リンゴ
- バナナ
- スイカ
- イチゴ
- ドリアン
といった構造にすることにより、果物のページの検索順位の向上を狙います。
構造をしっかり作ることによってテーマが伝わりやすくなるという効果に加え、「果物」のページにリンクが集まりにくかったとしても、「リンゴ」や「ドリアン」のページがリンクを集めるて、「果物」のページにリンクを流すことが可能となります。
コンテンツを設計する際に、後々下部のページを追加できるようなデザインにしておくことをお薦めされていました。
勝手にテキストやリンクを変更
Webサイト内の文章や内部リンクに関して、内容が変わらない限りは自由に変更しても良いとする許可を得て、色々なことを試しながら流入を増やしていったとのことです。
少しづつ流入が増えることにより、自信のノウハウの蓄積にも一役買うことにもなります。
ちょっとした追加に対して、いちいち許可をとっていると、スピード感のある最適化はできませんので、場合によっては効果的な手法だと思います。
特に、インハウスのSEO担当者は、スピード感を大事にしてPDCAのサイクルを回して行くことをお薦めします。
SEOを考えたコンテンツの企画
特定のキーワードを狙うために、コンテンツの追加や修正を行うことも効果があったそうです。
それらの追加を行うことにより、流入が増えた事はもちろん、被リンクを増やすことできたそうです。
被リンク対策
辻さんは、お客様へのアクセス解析の報告を毎月行なっていたそうですが、その中で今月の新規被リンクを合わせて報告したそうです。
今のSEOでもリンクは非常に重要です。
お客様もなんとなくは理解されているのですが、1本の被リンクの価値を非常に重要なものだとは認識されていないことが多いのですが、レポートを提出することにより、担当者の方の意識が変わり、「これはうまくやればリンクになるのではないか」という事をおっしゃるようになったとのことです。
お客様の理解度も上げ、一丸となってSEOに取り組んでいけるようになれば、効果が上がることは間違いないでしょう。
良いコンテンツを制作していればいつかは評価されるのウソ
良いコンテンツを作らなければ評価されないことは間違いありませんが、良いコンテンツを作っているのに話題にもならず、リンクも張られていないコンテンツは沢山あります。
そうならないためには、リンクを張ってくれる人に近づく事が重要だとおっしゃっていました。
- リンクを張ってくれる人が好む情報を知る
- リンクを張ってくれる人がいるところに出向く
といったことを意識することが重要です。
ソーシャルメディアが普及して、リンク獲得の敷居が下がったとはいえ、今でもリンクを張ったり、ソーシャルで言及してくれる人は多くはありません。
そこで、リンクを張ってくれそうな人(パソコンが好きな人や、ソーシャルを使いこなしている人)に好まれるような記事も作成するといいそうです。
5記事くらいは一般多数向けの普通の記事を書き、5~10記事に1記事くらいは、ネットで好まれるようなリンクしてくれそうな人に届けるコンテンツも作ると良いと説明して頂きました。
そして、そのリンクしてくれそうな人をイメージできるようになるには、アクセス解析が非常に重要だとおっしゃっていました。
辻さんがせおと呼んでいた時代にやっていたこと
- mixi(当時はTwitterなどがなかった)で共有されやすいコンテンツを意識
- リスティング広告で、リンクを張ってくれそうな人が好むコンテンツを作成し、リンク獲得
- 成功したら更に深く掘り下げたり、続編を作る
といった方法を繰り返していって、トラフィックを増やしていったそうです。
成功した要因
多くの領域を把握
CM制作や広告等の全ての領域を担当されたので、理想のWeb担当が行えたとのことです。
アクセス解析は非常に重要で、お客様と同じ方向を向くために必須ツールであり、それは自分自身の成長にも役立つとおっしゃっていました。
任せてもらえた
サイトを丸ごと任せてもらえたため、自由にサイトの修正を行う事ができ、次々とサイトを改善することができたそうです。
SEOの知識
SEOの知識は本一冊の知識で、後はお客様のサイトでの実践で鍛えられたようです。
検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書をお薦めされていました。
検索ガンガン本は、優れたSEOの解説書で、多くのSEO関係の方がお薦めしている定番の本です。
この本にはSEOの読み方は書かれていませんが、SEOの必要な考え方は理解出来ますので、大抵の事には対応できるはずです。
一人でSEOを行っていると、間違いに気付けないというデメリットもありますが、現在ではソーシャルメディアもありますし、様々なイベントで質問出来る機会もありますので、一人でもできる環境は整っているとおっしゃっていました。
理想のSEOのために
最後に、理想のSEOについてのまとめを解説して頂きました。
Web制作において、必要な領域は非常に幅広いです。
一般的なSEOの専門家は、広い領域の一部である、リンク周りであるとか、キーワードといった、一部の領域に特化しているため、全ての領域に対応するのは非常に難しくなっています。
辻さんは今でも、SEO以外の領域の勉強も精力的に行なっているそうで、辻さんのような凄い方が未だに努力されているのに、私がサボっているわけにもいくはずもありませんので、それ以上に努力していく必要があると感じました。
私も比較的「何でも屋」なSEOですので、辻さんのやり方を参考にしながら、成長していきたいと感じました。
お客様と密接に繋がり、様々な領域を任せてもらうことにより、実践と状況把握、改善が出来るようになります。
幅広い領域に対応出来る人+お客様と密接につながる+SEOの知識を持つ=理想のSEO とおっしゃっていました。
SEOだけでサイトが抱える全ての問題は解決できないが、アクセスが増えることによって多くの問題は解決される という言葉は非常に印象に残りました。
確かに、アクセスが少ない時は何を改善したらいいのか当たりをつけることさえ難しいこともありますが、アクセスが増えるにしたがい、そこから更なる改善も浮かんできます。
一度アクセスが増えて勢いがつけば、後の加速は比較的容易です。
SEOができていれば、ウェブサイトはまだまだ大きな力が発揮できますし、SEOの大きな成果で、お客様と一緒に喜べるはずだとおっしゃっていました。
自分自信、まだまだ、努力して成長していく必要があると強く感じた、素晴らしいセミナーでした。
今回感想をお送りした、このセミナーの動画、音声、スライドは、CSS Nite in SAPPORO,Vol.9「いま必要なSEO」のフォローアップに参加すれば、ご覧頂くことができます。
フォローアップ参加の受付はゴールデンウィーク終了の5/8(月)までとなっていますので、興味のある方はお申込みされることをお薦めします。
お申し込みは(受付終了しました)→http://cssnite-sapporo.jp/
CSS Nite in SAPPORO,Vol.9「いま必要なSEO」
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