2013年4月21日に札幌パークホテルで行われた、CSS Nite in SAPPORO,Vol9「今必要なSEO」の感想第3弾です。
前回の記事では益子貴寛氏のセミナー「サイトリニューアル時のSEO感想」についてお送りしました。
今回のレポート記事では、ウェブ解析士事務所ウィージェントの則田 貴浩さんの、ウェブ解析でSEOの検証はどうすればいい?の感想をお送りします。
則田さんにはウェブ解析の活用法を解説して頂きました。
ウェブ解析でSEOの検証はどうすればいい?
ウェブ解析とは
まず最初に、ウェブ解析についてご説明頂きました。
ウェブ解析とはアクセスのデータ分析したり、ウェブマーケティングを解析することにより、収益を上げるための取り組みのことです。
例えばECサイトだと、1回買ってもらうだけではなく、何度も購入してもらうことにより収益に繋がりますので、様々なデータを解析し改善に役立てる事が重要です。
下記のような様々なデータを分析することになります。
ビジネス
- 商談・見積・受注・売り上げ
- 電話・FAX件数
- マスメディア広告営業
- モニターアンケート
ウェブマーケティング
- ネット視聴率・キーワード分析
- ユーザビリティテスト
- ソーシャルメディア分析
アクセス
- 検索キーワード
- ページビュー
- 広告効果測定
ウェブ解析でアクティブなページの検証
仮説から目的と設計を考える
あらかじめ仮説を立て、必要な情報を先回りして取得することにより、検証、改善につなげて行くことを心がける必要性があるとおっしゃっていました。
そのために、様々な方法を用いて、測定を行います。
イベントハンドラを使った測定
ページ解析だけではわからないユーザーの動きを把握するためにイベントハンドラを使うことを心掛けるましょう。
設定する際には、目的と仮説を明らかにすることが重要です。
その時は、カテゴリやアクション等の知りたい情報をつけて判別します。
イベントとは
ボタンのクリック数や、動画の閲覧時間、どのリンクがクリックされているかといったことも取得可能です。
- PDFファイルやアプリ内の遷移をページビューとみなす(バーチャルページビュー)
- ページビューとして数えたくない数値のトラッキング(イベントトラッキング)
- イベント発生をどう定義するか
イベント発生をどう定義するか
- カテゴリ→大分類
- アクション→行動
- ラベル→小分類
- バリュー→値
- カウント方法
イベント設定例
例として、YouTubeの画面を元にイベント設定を解説して頂きました。
画像位置とクリック率や画像大小とテキスト画像のクリック率等の情報を知りたい時にイベントを使います。
キーワード直帰率が高い場合の対処法
キーワードの直帰率が高い場合の、ありがちな問題点を4つ挙げて頂きました。
- 一見して何のページがわかりにくい
- 検索ワード・ディスクリプションとページの内容が違う
- ページがなかなか表示されない
- ナビゲーションがスクロールしなければ見つからない
ユーザーの役に立つコンテンツを提供し、中長期的に顧客へと育成するSEOを実践しているサイトの場合、直帰率が高いことは必ずしも悪いことではありません(コンテンツの内容で十分に満足してもらえた)が、単純に何か問題を抱えている為に直帰率が高い場合は、問題点を修正しましょう。
キーワード分析5つのポイント
見落としがちなSEOの大原則
順位が上がることにより、ページビューやコンバージョンが上がるキーワードを狙ってSEOを行う事をお薦めされていました。
例えば、検索順位5位でCVが3件の場合、検索順位が上がれば、もっとCVが高まる事が期待できるからです。
あてずっぽうで狙っていくより、取得したデータを元に、狙いを定めてから動くほうが無駄がないでしょう。
ロングテール理論って本当?
ロングテールの奥深いキーワードになればなるほどCVが高くなるかどうかについて解説して頂きました。
基本的には検索者の目的に非常に近いため、CVは高まることになるのでしょう。
しかし、検索キーワードがマイナー過ぎた場合は
- 1セッションで1CV=コンバージョン率100%
- 1セッションで0CV=コンバージョン率0%
と言った形で100か0かとなりますので、グラフで見ても単純に右肩上がりではないとおっしゃっていました。
このあたりは、データだけ眺めていると、見落としてしまいがちになりそうです。
コンバージョンの山、ブルー・オーシャンを狙う
SEOやPPCで集客する際に、全てのキーワードを狙って行くことは実質的に不可能です。
また、ロングテールの尻尾の先に力を入れた所で、いかんせん、検索数が少なすぎるのでコスト的に高くなりがちです。
そこで、そこそこ検索数があり、競合が少ないキーワードを狙う事をお薦めされていました。
キーワードの外部環境分析
キーワードを分析する為の、Googleキーワードツールの使い方をご説明いただきました。
月間検索数やPPCの競合性を見ながら、ブルーオーシャンキーワードを探しましょう。
キーワードインテント
インテントとは意図のことです。
- キーワード+無料
- キーワード+方法
- キーワード+地域
検索者がどのようなニーズを持っているのか検索キーワードから想像することができます。
コンバージョンにつながっている組み合わせキーワードをよくチェックしておくことがお薦めされていました。
Googleアナリティクス講座をやってるとよくある質問
とあるキーワードでSEOをしていないページがランディングページになっている理由
まったく想像もしていないページがランディングページになっている理由を解説して頂きました。
可能性
- 初回訪問でブックマークされ、2回目以降そのページから訪問
- 2回目以降、メルマガ内のリンクから流入してきている
可能性としては、ユーザーが初めてアクセスしたページをブックマークしていて、2回目以降はそのブックマークからの来訪である可能性や、2回目以降はメルマガから流入してきている可能性があるとのことです。
Googleの参照元判別の仕組み
- 訪問時のCookieの参照元の判別
- 参照元がない場合、参照元がわかるところまでさかのぼり、それを参照元とする
つまり、初回アクセス時に参照元が判別されますが、2回目以降ブックマークやメールのリンクから訪れている場合、参照元がありません。
Googleアナリティクスでは、参照元が見当たらない場合、参照元がわかるまで過去にさかのぼり、それを参照元とするため、全く想像もしていないページがランディングページとなってしまいます。
アクセス解析ツールの設定で最低限してほしいこと
- コンバージョンの設定:しっかりと数字で見られるようにする
- 関係者のIPアドレスの除外:よりく正しいデータを取りたい
コンバージョンの設定方法と、関係者のIPアドレスの除外設定のやり方について解説して頂きました。
まとめ
小さな規模のウェブサイトでもやっておいて損がなさそうなウェブ解析についてわかりやすく解説されたセミナーでした。
私の考えているSEOの戦略とは、優れた情報を公開することにより、何度も来訪者の役に立ち信頼を得て、そのユーザーが本当に必要とした際にはそのサイトのサービスを利用するという、中長期的な視点で来訪者を顧客へと育てる行為となりますので、 その全ての効果測定を解析することはできませんが、その一部だけでも分析出来る取り組みをしているのと、一切を放棄しているのでは大きな違いがあると感じました。
戦術レベルでは、このような効果測定をどんどん取り入れて、細かな改善をしていくことは重要でしょう。
分析するデータが無ければ改善することさえ出来ません。
今回感想をお送りした、この素敵なセミナーの動画、音声、スライドは、CSS Nite in SAPPORO,Vol.9「いま必要なSEO」のフォローアップに参加すれば、ご覧頂くことができます。
フォローアップ参加の受付はゴールデンウィーク終了の5/8(月)までとなっていますので、興味のある方はお申込みされることをお薦めします。
お申し込みは(受付終了しました)→http://cssnite-sapporo.jp/
CSS Nite in SAPPORO,Vol.9「いま必要なSEO」
- Googleの変化から理解するSEOのトレンド感想:伊藤公助さん
- サイトリニューアル時のSEO:益子貴寛さん
- ウェブ解析でSEOの検証はどうすればいい?:則田 貴浩さん(この記事)
- “どこから手を付けていいかわからない” から卒業するサイト改善の初歩とA/Bテストの使いどころ:古荘 貴司さん
- ひとりでもできる、理想のSEO:辻正浩さん
- SEOぶっちゃけトーク:鷹野雅弘さんと出演者の皆さん
(記事を更新次第、リンクを追加していきます)
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